PASMOのあんなことこんなこと

夏でもないのに年から年中スイカSuicaと世で騒いでいても、私鉄沿線住民はほとんどその恩恵を受けないのであった。たまに乗るJR用にSuicaを保有してみたら、快適なことこの上ない、私の嫌いな行列ともほとんど無縁になる。私鉄での導入を切望していたが、ついに2007年3月18日、Suica互換の私鉄カード、PASMOが利用開始になった。早速使い始めたのだが、周りを見ると、何故か利用者を見かけない。オートチャージ式に申込が殺到して発行が遅れているのも一因だろうし、そのままSuicaを使い続けている人もいるのだろう。私もしばらくSuica継続のつもりだったが、やはり私鉄沿線ではPASMOが格段に便利。と納得するまでに紆余曲折があったのでまとめてみた。決してPASMOの回し者ではありません、念のため。

PASMOは記名式にすることによって、その機能をフルに発揮する。つまり個人情報を書き込んでユーザーを特定するゆえの利便だが、その為には駅の窓口で書類でも提出するのだろうという先入観があった。しかし、実際はPASMOの券売機でタッチパネルにより名前(カタカナ)とか生年月日とか電話番号を入力するだけ。最低限のユーザー特定情報ってことか。
記名式にする最大の利点は、紛失時に再発行が可能なこと。無記名だと財布を落としたのと同様で、拾った人にチャージ分使われてしまうが、記名式は再発行手続きをした時点でのチャージ分は返ってくる。もちろんPASMOに書き込んだ定期券も。モバイルSuicaの遠隔オートロックみたいなものか。
一方、最低限とはいえ、個人を特定できる情報を書き込むということは、利用履歴が全て記録されるということでもある。利便と引き替えのデジタル管理社会の象徴的なもの、これによって冤罪を被らないとも限らない。まぁ、そんなことは稀だろうけど、気にする人はするものなので、やはり利用は自己責任で。

定期券券売機の画面指示に従って記名式PASMOと磁気定期券を挿入すれば、PASMO定期券の出来上がり。PASMOに定期券を統合すれば、磁気定期券のように自動改札に食われることもなく、「タッチ・アンド・ゴー」で改札を通過できるのは当たり前として。「非接触式」ICカードなんだから、いちいち手に持たなくてもいいんじゃないかと。


私が普段持ち歩いている鞄。安物である。


今までは、これの外側のポケットに磁気定期券を入れていて、使用の都度出し入れしていた。そこで実験。ここにPASMOを入れて、鞄ごと読み取り部にタッチしてみると、若干もたつくものの、しっかり認識された。これで出し入れから解放される。なら、なにも外側に入れておく必要はないわけで。


内側のポケットに入れてみたが、問題なく認識された。快適!。

なお、全ての鞄において、この使用法が保証されているわけではない(笑)。各自、改札が空いている時を見計らって検証するように。

PASMOと定期券を統合して、いよいよPASMOに一本化したわけだが、チャージがまだ余っている手持ちのSuicaは、払い戻すと手数料を取られるので、これは使い切らないともったいない。

ごく普通に考えると、「定期圏外からSuicaで乗って、PASMO定期券で降りるとき精算する」という使用法。

ところがこの方法では、改札機でも精算機でも精算不可!。駅員にSuicaとPASMO定期券を渡して精算券を発行してもらって自動改札に通す、というPASMOを使うメリットが全くなくなってしまうのが現状。互換とはいえ、自社のカードを使わせたいのだから、当然といえば当然か。ということで、SuicaのチャージはSuicaが使えるコンビニでタバコをまとめ買いして使い切った。

余談だが、SuicaのチャージはJRの、PASMOのチャージは私鉄の券売機でないとチャージできないようである。やはり自分の利用路線のカードを使うのが便利ってことだ。

ならオートチャージを利用すれば解消されるのだが、現時点では新規にクレジットカードを申し込んでオートチャージ専用PASMOを使わなければならない。カード会社にとっては千載一遇の新規顧客獲得のチャンスだろうが、カード利用者にとってはむやみにクレジットカードは増やしたくないもの。ポイントサービスの恩恵も利用線系列カードでなければ多くは望めないので、自ずと選択肢は限られる。今回は見送ったが、現有クレジットカードでオートチャージを使えるようになることを切望する。

とホームページで告知されている付加機能がPASMOにはあるが、積極的な宣伝はしていないように見受けられる。

この二つをセットで設定しておけば完璧なPASMO定期券が完成(笑)。ところがこの設定、自分ではできない。改札にいる駅員にPASMOを渡して、専用端末で設定しなければならないのだ。2007年3月20日現在、この機能自体を知らず設定もできない駅員に遭遇した。全駅員への早急な周知徹底を望むと共に、この機能自体をデフォルト設定にすることを提言したい。

できるならもっと早くから導入してくれ、ともいいたくなるが、とりあえず稼働したのはめでたい。記念PASMOなんて発売するならもっと大量に発売して、オークションにかけるような輩を排除して欲しかったが。さて、モバイルPASMOの登場はいつの日であろうか。

追記

PASMOが導入になっても越えられない壁、それは3社線以上にまたがる区間では定期券が2枚になってしまうこと。学生時代、2枚の定期券を持って通学した身であるが、それからン十年経っても状況は変わらないらしい。今の自分には無縁なので、考えもしなかったが、ルナパパ氏から以下の貴重なTipsをいただいた。


磁気定期券やパスネットを自動改札に差し入れ・抜き取るという動作すら面倒くさいと思うようになったものぐさ者の私にとってタッチアンドゴーのPASMOは待ちに待った私鉄版Suica。ところが、私鉄〜(相互乗り入れ)〜東京メトロ・JRを通勤区間としている私の定期は1枚のIC定期にならない。鉄道会社は従来どおり磁気定期・Suicaの併用を推奨している。どうしてもSuica・PASMO双方を利用したい私はいくつかの案を検討。

  • パスケースをふたつ持つ
    ->論外だね
  • Suicaを「モバイルSuica」にしてパスケースにPASMOを入れる。
    ->モバイルSuicaをおススメしている会社に勤める私としては選択すべき案ですが、通勤時においても業務用ケータイを身に付け、プライベートケータイを鞄に入れているというスタイルなので、ちょっとだけ面倒。それに日中営業で歩く際は鞄すら持たないこともあるし、ましてやSuicaの使えない地方へ転勤でも命じられた日にゃ通常の定期スタイルに戻すのも面倒・・・。
  • 鉄道会社の言い分に素直に従い、従前のSuica+磁気定期の併用
    ->納得いかない

    ということで、ネットでIC定期パスケースを探しだしたら・・・ありました。2枚のIC定期を使えるパスケースが。

    もう少しネットで検索してみると・・・

    ということでネットでフラックス製の2枚セットを購入。銀行振込だとメール便で送料が安くなる。
    注文してから5〜6日、オーダーが集中しているらしく本日配達。早速いつも使っているパスケースに入れて最寄の駅に向かい、テストした結果・・・ばっちりOK。改札の表示画面にはちゃんと「定期利用」と表示されてました。
    ->面倒なのは、鉄道会社の改札を通過するたびに改札のリーダー面にどちらのカードを読ませるか使いわけなきゃいけないこと。これを間違うと定期区間でも運賃が引かれてしまいます。まあタッチアンドゴーになるんだからいいかと自分を説得。


    必要は購入の母ですな(笑)

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